師せる孔明先生、生ける屍(わたし)を甦らす(25)〜生きる価値がありません〜
玄子(げんし)です。
孔明先生との時空を超えた奇縁を描いたエッセイ
出会ってから留学するまで↑
23話以降は こちら よりご覧下さい。
日本にいる自分の価値
三国志愛をぶちまけた分だけ
自分の可能性や、夢、人の和が広がっていた成都での日々が
桃源郷のように感じられた。
だからこそ、日本にいる自分には、
生きる意義も価値もないとさえ思うようになってしまっていた。
このままでは、私は、壊れてしまう。
このままでは、三国志を思い出語りしかできない人生になってしまう。
孔明先生への尊敬愛が高じて留学して、もうここで終わりなのか?
こんなにも尊敬愛する孔明先生への想いはこんなものだったのか?
そんなの嫌だ。私の孔明先生への尊敬愛はそんなもんじゃない。こんなもんじゃない。
でも、誰も私の心に響く答えもヒントもくれない。
私の存在そのものに対して、興味さえない彼らにとって、私は感情のゴミ箱なのだろうか。
掴める藁さえない暗闇の中で必死にもがく私に掛けられる言葉は、留学前と同じ
「現実を見なさい」だった。
私の将来を憂えての言葉だとは思うが、
そんな言葉では私は救われない。
未来まで生きるための今がない
だったら帰国せずにずっと成都にいればよかったのに、と思われるだろう。
言われるまでもなく、成都留学時に就職活動をしたが、
ちょうどその頃、留学生活最後の数ヶ月にサーズの感染が猛威を奮っていた。
コロナ同様、未来が全く見えない状況下にいた私に、
両親は帰国を求めた。
六年間の三国志留学で十分に我が儘、気儘に生きさせてもらった以上、
親に更なる心配をかけることは出来ないと自分の責任で判断し、帰国した。
そして私は、無価値になった。