師せる孔明先生、生ける屍(わたし)を甦らす(28)〜生き続けるたった一つの理由〜

玄子(げんし)です。

 

孔明先生との時空を超えた奇縁を描いたエッセイ

【全22話】師せる孔明先生、生ける屍(わたし)を甦らす

出会ってから留学するまで↑

23話以降は こちら よりご覧下さい。

孔明先生がいてくれるからこそ

私が二回目に武侯墓へ行き、孔明先生に本格的に謁見できたのは、
屈辱を味わわされた初参拝から十二年も経ってからのことだった。

十二年ぶりにして、初めての感動の謁見を果たすと、
全身が心臓になったのか、全身が心臓に呑み込まれたのか。

言葉にはならない心の昂揚は、
細胞に至るまで感染し、
孔明先生の御霊に頓首できる光栄な時空間に、幸せを感じた。

孔明先生がいてくれたからこそ、生きているのだと、
孔明先生がいてくれるからこそ、これからも生きたいと思えて、
これから先の人生も孔明先生と生き続ける決意をした。

生き続ける理由は、それだけで十分だった

孔明先生に密告!

寿命を全うして生き抜くと誓ったからには、
生きることに遠慮をしてはいられない。

「孔明先生、聞いてください!」

私はここぞとばかりに
平和な世の中に生きながら、
平和な世の中を夢見て命を懸けて戦った英雄達に、
悪口雑言、暴言を吐く残念な現代人がいることを密告した。

どんなに頑張って生きようと思っても、
心ない人が「三国志」の旗を掲げて、
土足で心に上がり込んできては、
不遜な価値観を押し付けてくることに耐えられない。

彼らと関わらずに、
これから先も
孔明先生と人生を共にして生いくにはどうすれば良いですか?
と直談判してみた。

それまで誰にも言えなかった、
誰も聴いてくれなかった心の本音を、
洗いざらい孔明先生に打ち明けると

「これ、読んでみて」

武侯墓敷地内にある売店の人に、
一冊の本を勧められた。

まるで孔明先生から託(ことづ)かったかのように。

「こ、これはー」

孔明先生が私に託したものとは?>>>