【中途半端】の語源は真逆だった!!

三国志作家の玄子(げんし)です。

今日は気が向いた時に学んでいる中国の故事成語をご紹介します。

半途而廢*中途半端

後漢の中国。ってことは三国志の時代に近い時代。

楽羊子って人がいました。

彼は道でお金を拾ったのでそのまま懐に入れて奥さんに渡しました。

すると奥さんは喜ぶどころか怒ります。

「何やってんのよ!渇しても盗泉の水は飲まずって孔子も言っているじゃない!
今頃、お金を落としている人は困っているわ!いますぐ返して来なさい!」と。

楽羊子は恥ずかしくなり、お金を拾った場所へ行くとちょうどお金を落として途方に暮れている持ち主が!
「さっき拾ったのですがー」
お金を渡すと、持ち主は助かりました!!ありがとうございます!と感激。
楽羊子は益々自分が恥ずかしくなり、こんなんじゃダメだ!
もっと人間力を高めよう!と決意し、学問を志て単身赴任して弟子入り。
その間、奥方は家を守っていました。

それから一年後、突然、旦那の楽羊子が帰って来ました。
「学問はどうしたの?」と心配する奥さんに
「長い間家を空けていたから、君に会いたくなってさ」愛しさを告げます。

が!奥さんは厳しい顔をしてハサミを手に取るとそれまで大切に織っていた布を断とうとするではありませんか!

「な、何をするんだ!ここまで織るのも大変だったのに!」旦那が慌てると

「そうでしょ?」奥様は諭しました。

ここまで一つひとつ積み重ねて来たのに、今ここでハサミを入れたらどうなる?
それまでの苦労や積み重ねが台無しになってしまうのです。
そしてそれは、学問も同じだというのです。

「そんな中途半端なことでは今まで学んだことは水の泡になってしまいます!」

奥方に言われ深く感動した羊さんは、すぐに師の元へ戻り以来、7年に渡って家に帰ることはありませんでした。

これが故事成語のお話です。

昔は女性の名前は記載できなかったので彼女の名前は分かっておらず楽羊子の妻、として有名です。

が!彼女の人生は終始一貫していました。

故事成語の後のお話がまた凄いのです。

姑が相手でも妥協しません!

 

楽羊子が7年間、家を空けている間、姑が同居していました。

一番面倒なパターンです。って言わないだけでも彼女は偉いですが

ある日、自宅の庭に隣の家の鶏が迷って来てしまいました。

すると姑はその鶏を料理し夜の食卓に並べました。今夜はご馳走だ!と。

が!!奥方は鶏が隣の家の人のものと知るや否や泣いてしまいました。

人の家のものを盗んでまでお腹を満たそうとは思いません、と姑の卑しい行動を悲しんで食事を拒否。

そこまで言われたら「でも私は食べる」とは言わない姑。

自分の行動を恥じてせっかく作った料理を食べずに捨てました。

う〜ん、気持ちはわかるけど、捨てるのはもったいない。
せめて隣の家にお裾分けって感じで持っていけば良かったのに。

 

命より誇りを選んだ女史の最期

 

独身ならまだしも7年間も家を空けて学問に励む旦那。
その隙を狙って女史に悲劇が襲いかかりました。

ある夜、強盗が家に入り姑を人質に取ると「いうことを聞かなかったら婆さんを殺すぞ」と女史に迫りました。

すると女史は懐から短剣を出すと「悪党の思い通りにはなりません!」
姑の命と、旦那への愛を守って自害してしまいました。

まさかこんなことになろうとは!
驚いた強盗は姑も家財道具も手にすることなく逃亡。

姑が通報し役人により強盗は捕まって処刑されましたが、女史の誇り高さを敬って葬儀は町をあげて大々的に執り行われました。

この時はさすがに旦那も帰ったと思いますが、妻に叱咤激励され頑張っていたのに家に帰ったのは妻の葬儀、、、。

時代とはいえ、人の感情に時代の違いはないので、どんなに悔しく辛かったか、、、。

旦那はこの後、悲しさに負けず立派な人に、、、なったのか!?

中国のサイトで検索しても楽羊子妻、としか出てこず。
旦那そのものについては触れられていません( ̄▽ ̄;)

それだけ奥方の高尚な生き方が鮮烈だったんですね。
そんな女性って滅多にいないので色んな意味で内助の功!
今でも歴史上の人物となってまでも旦那を立てられるなんて素敵な女性ですね。

ということで今回は「中途半端」の語源「半途而廢」をご紹介しました。

女史の生き方が少しでも心に残ったなら、響いたなら。これからの生活で
「中途半端だけど、まぁ、いっか!」とかちょっと魔がさしてズルをしようかなって思ってしまったら、

それまで頑張っていたことを投げ出したくなったら
彼女の言葉と生涯を思い出してみてくださいね。

もうちょっと頑張ろう!我慢しよう!って思えるかも。

過酷な環境に耐えて咲く花のように、、、。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました!

玄子(げんし)