玄子(げんし)
玄子(げんし)です。
自己紹介も兼ねて気が向いた時に私と三国志英雄たちの人生を小説風に綴りますので
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目次
天地人、神仏全てが敵!取り柄は命だけ
古代から、分かれること久しければ一つになり、一つになること久しければ分かれるという……らしいけど
「天下の情勢はともかく、私の心も一つになることないんですが」
何をやっても中途半端だと言われ続けている私は、試験でも、まともな点数を取ることなく自分の置かれている状況を嘆いていた。
周りはみんな、何かに夢中になっている十三の頃。
「虚しぃ」
心熱くなるものも、夢も何もなく、ただ、生きていた。
取り柄は命だけしかなかったから、生きるしかなかった。
心解り合えないクラスメイトや教師と、毎日同じ空間に居ること自体、悲劇だった。
同じ国の、同じ時代の人間なのに、彼らの言動は理解に苦しむモノばかりだった。
口先では、クラス一丸となって仲良く、とはいうものの、その実はクラス一丸となって陰湿にいじめる、というところだった。
学生だけではなく担任教師も仲間入りして。
あまりに耐え切れず自殺した人もいたが、誰も彼の心意を探ろうとはしなかった。
さて、次は私の番であろうか。
「このまま生きるわけにも、死ぬわけにもいかない……」
自分の生き場、居場所を失っていた私は自分自身の存在価値を疑い、健康な体を恨んだ。
「もう、この世の中で生きていても意味がない! でも、あの世に逝く勇気もないし」
十三歳の私には自分の現在地だけが世の中の全てと映っていた。
だけど、自殺をしたら親が悲しむ、自分の存在が罪過であったと認めてしまうような、負けてしまうような気がしていたから、誰にも相談できずに誰にも見えない持て余した命と心の傷を負い続けていた。
叫んでも、叫んでも、心の叫びは誰にも届かない。
天にも地にも、神様にも、仏様にも、届かない。
言葉にすると状況は悪化するだけ、、、どうすればいい?
玄子(げんし)、三巻の書物を得る
世の中にも神様にも見捨てられた私には「人間扱いされて生きたい」という希望を、言葉で伝えることも、涙を流して訴えることも、心の中で懇願することさえも許されなかった。
そんなある日のことだった。
―あの世でもこの世でもない世界へ行ってみるか
突然、長身の男が背を向けたまま現れた時は、学校で邪魔者扱いされている私に、積極的に声を掛けて来るなんて、と驚くのに精一杯で、突如現れた彼の存在を疑うことよりも
「あの世でも、この世でもない世界?」
男の顏を見て見たいと言う好奇心が勝った。しかし
―君が私の顔を見るのはまだ早い。それよりも、この三巻の書は、君の人生を飛躍させる力を持っている。
現実世界ではありえない夢のような展開、、、。
そうこれはきっと、夢。
いつの間にか私の目の前に積まれた三巻の書物に不信を感じなかったのも、これが、夢だから。
「これは?」
―この書物をどれだけ活用するかは君次第だ。君が同級生らと何ら変わりのない人間であれば、この書物を読んだところで一過性のものにすぎないだろう。だが、、、
同級生と同じ……相手の気持ちや立場を思い遣れなければ、この書物は役に立たないってこと?
ーだが、もし、君が我々に選ばれし人間であれば、情熱を武器に時空を超えて人生を切り拓く能力が開花するであろう。
「え?時空?選ばれるってどういう意味ですか」
時空を超えてってタイムマシーンでもくれるわけ?
ま、タイムマシーンを貰ったところで自分の過去にも未来にも、世界中の歴史にも興味ないから使わないと思うけど。
―さて、どういう意味かな。すぐに答えを求めるのではなく考えてみてはどうだ。学校ではあまり使っていなさそうな頭を、たまには使ってみては如何かな
ごもっとも過ぎて反論出来ず。
「そうします」
―おや。君は思いの外、素直だな。普通は反論の一つも唱えそうなものだが。
「実際に頭をちゃんと使っていないので反論も特に思いつきません」
―君はいつも、反論しようとは思わないのか
「居場所が与えられていないので、反論なんてとても……」
針の筵に居場所を探す?
―居場所? 居場所はー
「自分で作るものだってよく言われますが、それが出来ないから大変なんです」
存在している事さえ嫌がられている私が居場所を作ろうと足掻いたところで、自分で自分をさらに追い詰めるだけだというのは火を見るよりも明らかだ。居場所はいらないから、消えて楽になりたい。
―いや。居たくもない場所で、無理に自己主張を繰り返したり、嫌な思いを我慢したりしてまで居場所を作らなくても良いのではないか?
「え?いいの?」
ー針の筵に居場所を見出したいのか?
「嫌です!」
ーだったら、自分が居たいと感じられる場所を、自分に合った方法でゆっくり探して広げていけばいい。
少なくとも、君が望まない場所で、無理に己を殺して、心解り合えない人間に好かれることはしなくてもいい。
彼らに好かれないことは、悪でも恥でもない。
寧ろ君は彼らとは一線を画した存在であり特別だからこそ今、戦っている。生きている。
そしてこれからも生き続けなければならない。
「ああ、何か教師がいうことよりも人間っぽくて解り易い! 拝顔は出来ないけど、でも、ありがとう! 先生!」
こういう話をしてくれる人、今まで誰もいなかったから嬉しい。
今まで、先生って呼べる人がいなかったけど、この方は、先生と呼ばずにはいられない!!!
人生初!「先生」と呼んだ人の名はー
この先生ともっと話したい、教えを乞いたい!
「先生! また会えますか」
―もし君にその気があれば、また後日、会おう!
長身の先生はそういうと霧に覆われて消えそうだったので
「先生! せめてご芳名を!」
何とか丁寧そうな言葉で名前を聴くと、その人は、ゆっくりと名乗った。
―姓は諸葛、名は亮、字を孔明。
「諸葛亮……字って何だか解らないけど孔明? とりあえず諸葛亮孔明先生!」
孔明先生と知り合ったことで私の人生が大きく変わり始めていたことは、十三歳の私には知る由もなく、それ以上に、出会いそのものが天命であったことに気付くのは、まだまだ、ずっと、先の話だった。
あとがき
こんな感じで、実際に置かれていた私の状況と、その当時の想いを交差させてお伝えしていきますので、今後もよろしくお願いします!
玄子(げんし)