管鮑之交に学ぶ友情
諸葛流文霊想作家の玄子(げんし)です。
*文霊(あやだま)とは?
時代、時空、国境を越えて読む人の心を動かす力を持っている文字には霊(魂、精神)が宿っているという概念から生まれた玄子の造語です。
管鮑之交に学ぶ友情
終活で春秋時代に足を踏み入れ、管仲と鮑叔牙の登場にワクワクしている今日この頃。
この二人の友情は管鮑之交で有名。
ですが、最初は管仲はいいけど、鮑叔牙ってそんな役回りなんじゃ?って思っていました。
管仲のイメージが天才すぎて知らなかったのですが、
桓公に仕えるまでは、かなり残念な人ってレッテルを貼られていたらしい管仲。
何をやっても上手くいかない、いいところがひとつもない人、とさえ思われていたとか。
そんな管仲を天下の奇才だと信じて疑わなかった鮑叔は、
大きなことから小さなことまで管仲を理解、応援し続けます。
どんなに失敗しても「タイミングが合わなかっただけだよ」とか
甘やかしすぎなんじゃないですか、鮑叔牙さん!ってくらい頑なに管仲を信じまくるのです。
付き合っても自分にとってなんの得にもならない、マイナス要素沢山だった管仲をなぜ
鮑叔牙は見捨てなかったのか?
鮑叔牙は管仲と付き合って、何を得たのでしょうか?
鮑叔牙が管仲から得たもの
管仲がダメダメ人間としか見られなかった時期でも見捨てなかった理由は、
管仲が鮑叔牙に「天下」を感じさせたから。
目先の利益ではなく、天下を治めるためにはどうすべきか?を
商売していた時代から、鮑叔牙に話していたのは想像に難くない流れ。
自分さえ良ければって戦や目先の策略が多かった時代。
鮑叔牙の才智が高いからこそ、管仲の言っている意味を理解できたし
管仲のおかげで、鮑叔牙も啓発され、その才能を開花させることができたのです。
だからこそ、鮑叔牙は「管仲は天下の奇才」だと言い続けて桓公を説得しました。
そして何よりも!
もともと、桓公の教育係、師匠は鮑叔牙でした。
鮑叔牙の職責は、桓公を立派に育て上げること。
本来であれば、鮑叔牙一人で頑張らないといけない職責でした。
最終的に桓公が春秋時代、最初の覇者になったことで鮑叔牙はその職責を十二分に果たしているのです!
いうまでもなく、管仲がいたからこそ桓公は覇者になれました。
言うなれば管仲は鮑叔牙の職責、重責をともに背負って尽力したのです。
そして何よりも!桓公に大抜擢され、その名と才能を知らない人はいない管仲が
「生我者父母,知我者鲍叔也!」
(私を産んだのは父母だが、それ以上に私を知るのは鮑叔である!)
声高らかに史書にまで遺したことにより鮑叔牙の徳が多くの人に称えられるようになったのです。
司馬遷が史記で
「人々は桓公を覇者に押し上げた管仲よりも、
管仲の力量を見抜き信頼し続けた鮑叔を称えた」
と伝えているのがその証拠。
この目には見えない、二人の友情の深さ。
本当に素晴らしいですね!
孔明先生に多大な影響を与えたのは、目に見える結果、才智だけではなく
目には見えない鮑叔牙への友情も込みだったんですね!と思い知りました。
ちなみに孔明先生が「知己」と呼んだ相手は玄徳公です。
乱世でも自分を理解してくれる人を大事にできるのもすごいけど
自分を理解してくれる相手に出会えて、その知己とともに天下と歴史を動かすって・・・
かっこよすぎです!!!