管仲が鮑叔牙を推挙しなかった理由に学ぶ真の友情とは
諸葛流文霊想作家の玄子(げんし)です。
*文霊(あやだま)とは?
時代、時空、国境を越えて読む人の心を動かす力を持っている文字には霊(魂、精神)が宿っている
という概念から生まれた玄子の造語です。
今日も管仲と鮑叔牙に学びます。
管仲が鮑叔牙を指名しなかったわけ
管仲の死後、誰に宰相を任せれば良いか?と桓公と話し合いになった時、
桓公は「鮑叔牙が良いのでは?」と管仲に聞きました。
管鮑の交わりでも有名な二人。
鮑叔牙が後任だと管仲も安心なのでは?と思いましたが管仲は「ダメです」と却下。
理由は、鮑叔牙はあまりにも剛直、清廉すぎるから、だというのです。
あまりにも厳しすぎて、一度過ちを犯したら一生、その人を忘れないし
ちょっとした「だって・・・人間だもの」的なミスさえ許せない性格だから
高官としてはとても良いけど、宰相としてはそれが仇となって桓公と対立してしまうことになるとのこと。
宰相は清濁併せ呑んだ上で臣下と主君の気持ちのバランスをとりながら
国力を強めていかなければならないので
公私混同することなく、管仲は鮑叔牙を推挙することはありませんでした。
後に、鮑叔牙が宰相になりますが喧嘩別れしてしまうことに・・・
(私がみている作品「東周列國」の中では、です。史実に興味のある方は各自どうぞ)
剛直すぎると言えば・・・
宰相/丞相の器とは
孔明先生のご先祖である諸葛豊さんは剛直すぎる司隷校尉として有名でした。
孔明先生も、剛直だし、清廉な人物として有名です。
が!孔明先生は丞相になっています。
諸葛豊さんの取り調べは、すっぽんのようにしつこかった・・・粘り強かったようです。
なので、鮑叔牙ももしかしたら、こんな感じだったのかもしれません。
孔明先生は、罪を犯して処遇が決定した人であろうとも
どんな些細な罪科でも、孔明先生自らが最終的に改めて話を聞いていたので冤罪はなく
罪を犯した人も納得して処分を受け入れていました。
罪科だけで人を判断せずに、その背景まで聞いた上での判断。
日々の政務をこなしながら忙殺されても自他ともに心を殺さない孔明先生。
この慈悲深さが、孔明先生が今日まで畏れながら愛されている大きな理由の一つ。
そして、このレベルの仕事をこなせる人こそ丞相の器。
管仲の後継者は1ヶ月後に他界しているし←陰謀論とかありそうな急逝。
桓公は腑抜けて小人と遊ぶようになってしまうし、、、
その点、まだ、姜維殿がいた分だけ、孔明先生は安心できたと思いたいです。
孔明先生亡き後、小人と遊んで国を滅ぼすあたり、劉禅陛下と桓公はそこだけ同じ( i _ i )
安楽な余生を送れた劉禅本人は幸せだったと思いますが、、。
主君のことはもちろん、同僚や部下のこともよく知っているからこそ
それぞれの才能を活かせる道が見えてくるもの。
己を知る真の友
ここから先は私の想いを吐露したいだけの、想像と憶測だけですので予めよろしくです。
管仲は鮑叔牙を推挙しなかったのも
鮑叔牙を知っているからこそ。
なので。鮑叔牙も管仲が異議を唱えたことにムッとすることはありませんでした。
「昔、管仲の命を救って、なおかつ、宰相に推挙してあげたのに
私のことは推挙してくれないどころか反対ってなんだよ?」
って思わないのが鮑叔牙の器のデカさ!
そして、これこそが鮑叔牙を小人の毒牙から守った管仲の友情でもあったのです。
管仲の後、鮑叔牙が宰相になって(既に小人と遊び始めている)桓公との仲が悪化して
万が一、小人たちの手にかかって鮑叔牙が命を落とすようなことになったら、、、と考えれば
大事な知己の命を守りたかったのかもしれません。
昔、兵士だった時代に無駄な戦いを避けて母上に孝行したいと逃走した管仲。
みんな管仲を批判する中、
戦で無駄死にするよりも、生きて母上の面倒を見る方が大事だと理解してくれた鮑叔牙。
ってことを振り返れば、管仲が鮑叔牙を推挙しなかった理由も納得です。
桓公が、もっとちゃんとしていて小人を遠ざけていたら
鮑叔牙を宰相に推挙したかもしれません。
若い頃は良かったけど、晩年の桓公と鮑叔牙の相性はよくない、
小人と親しんでいる今の桓公と意見が食い違った時、
立場的に命が危うくなるのは臣下である鮑叔牙だと悟ったなら
そんなくだらないことで大事な大事な知己の命を失わせたくないと
私でさえ思うくらいだから、管仲も普通に感じたと思います。
鮑叔牙が宰相になる頃には、もう、桓公は以前と大幅に違っていたので
ここまで支えたら、もういいよねって感じになって辞職してしました。
管仲の後継者が1ヶ月後に殺されたのが、もし、小人の仕業だとするなら・・・
って考えるとますます、管仲が鮑叔牙を宰相に推挙しなかった理由と
管仲の洞察力の深さを痛感します。
この二人の友情は、本当に深い!
特に管仲の鮑叔牙に対する友情は目に見える出来事ではないので
上辺だけで軽々しく語れるものではないなと感じました。
相手の存在と命を大事にする
管鮑の交わり、最高!!
孔明先生が管仲に惹かれ、目標とした理由がわかりました!
この二人に出会えてだけでも、春秋時代に足を踏み入れて良かったです!
感謝!!!